日本音楽即興学会(JASMIM)2011大会報告


【発表者】
若尾 久美(Kumi WAKAO)


【要旨(大会抄録記載)】
私たちの住まいは、それぞれ異なった響きを持っている。それぞれの家は周囲の空気を切り分けて、遮蔽物となり、それぞれ別々の音環境を形作っている。このような意味で家は音のフィルターである。また、家の中の音環境を左右してそれを形作る装置である。


それは、家の周囲の音を映しとり、家の内部で反響し、家の暮らし方に共鳴する。この音のテクスチャーを切り取って、それぞれに特有の音の出来事を観察し、その体験を共有するために映像作品とした。空気振動による音の状態を観察、記録、提示、現実空間に向き合うこと、触れること。この体験を通して音に関する意識の糸口を見つけたい。


この視点で制作したものが「家の音/2008/8分」で、家というフィルターをそのまま使っている。もうひとつの「21のまなざし/2011/11分」は同じ視点から制作したものだが、これは人が住む家ではなく町角に置かれている祠(ほこら)を使った。祠は偶然の音のスポットで、ある程度閉ざされた空間として、これもまたそれぞれに異なる音のフィルターとなる。祠には地蔵が祀られており、それぞれの地蔵を通して見える風景と聞くであろう音を同時に撮っている。

【報告】

前のページに戻る