日本音楽即興学会(JASMIM)2012大会報告



【発表者】
堀上みどり / Midori HORIKAMI
活動・研究分野:ジャズピアノ演奏の習得


【要旨(大会抄録記載)】


昨年本学会で、それまでの「即興演奏の習得に関する研究」のまとめとして、即興演奏の習得方法、即興演奏の意味について発表し、その後ジャズピアノを習い始めた。これまでのミュージシャンの演奏のコピーや楽譜、理論に頼った学習方法ではなく、「研究」の成果を活かした、創造的、探究的な練習によって学習を進め、演奏の完成度よりも、自分の感性によって自己を表現することに意味を置いた演奏を目指そうと考えていた。しかし、実際の学習プロセスは、これとはかなり異なるものだ。では、この10ヶ月間、どのような方法で学習してきたのか、そして、どんな成果があったのかについて、最初に述べる。


現在、まだ途上ではあるが、筆者なりの導入、テーマ、終止の形がだいたいできあがり、次に、ソロ(即興の部分)をどのように演奏するか考える段階になった。ここで、ミュージシャンは自分のスタイルをどのように確立するのかという問題に直面している。Keith Jarrettの「If I Should Lose You 」を聴いたことがきっかけで、今回、彼がGary Peacock、Jack DeJohnetteと1985年に録音した『STANDARDS LIVE』から、「Stella by Starlight」をとりあげて、彼がどのように自分のスタイルを作っているのかを調べることにする。


ここで、少しKeith Jarrettについて触れておきたい。彼は1945年ペンシルヴァニア州アレンタウンに生まれ、3歳でクラシックピアノを習い始め、7歳でリサイタルを開いたという天才である。高校生の時ジャズピアノを始め、奨学生として1年間バークリーに学び、最初は、Bud Powell、Art Tatum、Bill Evans、McCoy Tyner等を継承した演奏をしていた。1966年頃、新興宗教家G.I.グルジェフの哲学に傾倒し、その思想の影響を大きく受ける。その後、中腰で時に発声を伴い、何かに取り憑かれたように演奏するスタイルを確立したと考えられるが、では、Keith Jarrettは何を弾いているのだろうか。彼の演奏においては、視覚的、あるいは精神的な面こそ、重要なのかもしれない。しかし、ここでは、G.I.グルジェフに関してその音楽的影響を検証するにとどめ、彼が演奏しているフレーズを分析することによって、そのOriginalityの一部を明らかにしようと試みる。


超一流のミュージシャンの場合でも、そのOriginalityは無意識のうちのInspirationから自然に湧き出てくるものではなく、意図して練って創り出しているものだということを、今回の分析から知ることができた。筆者も、目指すスタイルを明確にし、意図を持って即興部分の練習をおこないたい。以上





Report of the Process of Learning Improvisation


I had studied the way of learning improvisation for about one and a half year. After I presented it in this academy last year, I began to learn jazz piano. Now I will report the process of my learning jazz piano. I have learned to perform the introduction, theme and ending in my way. Next I have to establish my own style in a part of improvisation. How does a musician do that? I'll try to declare how to do that by analyzing Keith Jarrett's performance of 'Stella by Starlight' ─from " STANDARDS LIVE" in 1985.


【報告】

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