日本音楽即興学会 JASMIM

The Japanese Association for the Study of Musical IMprovisation
Language:
  • 日本語
  • English
書籍:
  • 音さがしの本
    著者:R.マリー シェーファー
    著者:R.マリー シェーファー
    翻訳:今田 匡彦
  • 文化中心音楽療法
    著者:ブリュンユルフ スティーゲ (著)
    翻訳:阪上 正巳 (監修, 監修), 井上 勢津 (翻訳), 岡崎 香奈 (翻訳), 馬場 存 (翻訳), 山下 晃弘 (翻訳)
  • 即興音楽療法の諸理論〈上〉
    著者:ケネス・E. ブルーシア (著), Kenneth E. Bruscia (原著)
    翻訳:林 庸二 (翻訳), 岡崎 香奈 (翻訳), 生野 里花 (翻訳), 八重田 美衣 (翻訳)

文献:

書籍名「「存在を肯定する」作業療法へのまなざしーなぜ「作業は人を元気にする! 」のか」

記載:2018年03月28日

本著では「障害受容」という枠組みを超えて、障害があるために「できない」ことがある当事者に対して、「できる」ことを増やそうとする作業療法(学)から、その当事者をそのままに肯定する作業療法(学)の具体的な構築に迫った画期的な本である。

内容紹介
障害があって「できない」ことがある当事者をありのままに肯定し元気にする、画期的な作業療法のあり方を提案!

本著では「障害受容」という枠組みを超えて、障害があるために「できない」ことがある当事者に対して、「できる」ことを増やそうとする作業療法(学)から、その当事者をそのままに肯定する作業療法(学)の具体的な構築に迫った画期的な本である。
「できる」ことを増やそうとする従来のリハビリの概念を覆し、これからの新しい作業療法(学)について、社会学、障害学、現象学、そして当事者研究からの学際的視点と作業科学を基盤とした実践的手法の側面から提案する。
臨床において、自らの作業療法について悩んだとき、本書は大きな手がかりをくれるはずである。
作業療法士をはじめ、障害のある人を支えるすべての人が読んでおきたい本。

出版社からのコメント
書評 評者:友利 幸之介(神奈川県立保健福祉大学大学院,作業療法士)
「作業療法ジャーナル」第48巻 10号 2014年(三輪書店)より転載(一部改変)

本書は,田島氏ファン(私も含む)が期待した重厚な単著とは異なり,6名による分担執筆である.初めて手にしたときは少し裏切られた感もあったが,そこは田島氏らしい人選で,1人は当事者研究で知られる小児科医,1人は気鋭の社会学者,そして残る3名が特殊な経験や視点をおもちのOTとPTで構成されていた.この超個性的な著者が,「存在を肯定する」ことについて,それぞれの立場からありのままに論じ,編者である田島氏が「作業療法のまなざし」として,それらをうまくまとめあげている.

本書では,現在の作業療法の目的として世界的に注目されている「作業ができること(enable)」の,影の部分である,「存在(being)のぐらつき」に焦点を当てている.また,作業ができる-できない,といった現在の思考の基本軸から,新たな思考の方向性を模索している.少なくとも,「作業ができること」に興味がある方や,「作業ができること」だけが作業療法じゃないだろうと思っている方には,きっと何らかの示唆を与えてくれるだろう.

私も本書でいろいろな示唆を得ることができたが,特に1章の熊谷晋一郎氏の論考は興味深かった.熊谷氏自身が脳性麻痺であり,当事者研究として,自身の体との対話,依存,自己決定等について論じていた.「作業ができること」に関係なく,多くの療法士に知ってほしい当事者の視点である.また,4章の田中順子氏も,ライフワークであるピアノを弾くという作業を通して見えてきた「作業の可能化に潜む罠」,「ディオニュソス的作業療法」での論考では,私も凝り固まっていた作業療法思考をストレッチしてもらった.

ただ正直なところ,本書には私も理解することが難しい箇所がいくつかあり,本書の「行間」や「真意」を読み取れるか否かは,読者の日ごろの経験値や感受性に左右されるかもしれない.私なりの本書の「攻略法」は,多少難解な箇所があっても,そこで何度も読み返すよりは,最後まで読みきることだ.最後まで読み進めた後,多少わからなくても,そのときに自分が理解できる範囲でいいのだろうと感じた.それがまさに本書で伝えたい,自分という存在を肯定することではないだろうか.

次に,読む順番である.まず,田島氏が執筆した序章と6章から先に読んでみるのはどうだろうか.特に6章はすべての章を田島氏が要約しているため,序章の次に6章を読むことをお勧めする.そして,OTである港 美雪氏(3章),田中氏(4章)の章を読み,最後に熊谷氏(1章),立岩真也氏(2章),玉地雅浩氏(5章)に入る.もちろん章の並びにも田島氏なりのこだわりがあるとは思うが,個人的には,この順番がスムーズに読み進められるのではないかと感じた.

田島氏の著書は,前著『障害受容再考』のように,噛めば噛むほど味わい深くなる.これから,私も人生経験を積み重ねていく中で,本書とまた新たな出会いがあるだろうと期待している.

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
田島明子
聖隷クリストファー大学リハビリテーション学部作業療法学科准教授。1970年生まれ、作業療法士。1993年、東京都立医療技術短期大学作業療法学科卒業、1999年、東洋大学2部社会学部社会学科卒業。2003年、同大学院社会学研究科福祉社会システム専攻修了(社会学)、1994年より東京都心身障害者福祉センター、2001年、東京都板橋ナーシングホーム勤務。2009年より吉備国際大学保健科学部作業療法学科講師を経て2011年より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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