日本音楽即興学会 JASMIM

The Japanese Association for the Study of Musical IMprovisation
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日本音楽即興学会(JASMIM)2013大会報告2

全体レポート2日目

牛嶋敦子

10:00 ワークショップ「映像楽譜を読む〜一つの同じ映像楽譜でさまざまな実践演奏を試みる」 若尾 久美
朝一番は、大会参加者が映像楽譜をみて、演奏、即興に加わるというワークショップです。今年は、まったくのぶっつけ本番で、ピアノ、声、クラリネット、笛、アコーディオン、カリンバ、iPad、の演奏で、計12名が参加しました。1人1人がそれぞれ感じたところで演奏にはいったり、抜けたりしていくということで、多くの人数が同時に演奏することがないように気をつけるというルールでした。静けさ、大胆さ、動的な動きなど全く予想もつかない展開の興味深いシーンにいくつも遭遇しました。演奏後、参加した1人1人が映像のどこをみて、どう解釈して、表現したのかを説明していきました。

11:00 研究発表「即興音楽療法における音楽要素の臨床的役割から自閉症児対象個別セッションでの即興音楽分析から〜」岡崎 香奈
 ニューヨークでのノードフ・ロビンズ音楽療法を用いた自閉症児のセッションの模様をビデオとともに解説されました。セッションがすすむにつれて変化していくクライアントの様子を感じとることができました。最初は、できなかったことが、音楽療法を通じてできるようになっていくプロセスは目を見張るようでした。発表では、このセッションをリズム、テンポ、強弱などの音楽要素によって分析、解説されました。

11:30 研究発表「即興演奏を中心としたアマチュアオーケストラは何をもたらすか−『音遊びオーケストラ in 安芸津』の実践をとおして」寺内 大輔
 初心者を中心とした、同じ曲を継続して練習しない一回完結型方式のオーケストラ活動についての報告でした。指導者をおかず、選曲や方針などは、毎回その練習のときのファシリテーターの意向によるとのことでした。最初は、ふれたことのない楽器を持ってかまえるだけでもやる気と喜びを得るようだとのお話に、なるほどと思わされました。

13:00 基調講演 ’A Connection between Research and Practice in Musical Improvisation’ クリス・カトラー
 音楽の歴史のなかで、録音技術の登場と進展が音楽への取り組みととらえ方を大きく変えたといわれていました。20世紀の主としてポピュラー音楽の歴史をたどりながら、音源の紹介を交えての解説をされました。音楽と録音された音楽、音楽が生きているのか死んでいるのか?即興は音楽か?音楽とは何か?など根幹に迫る問いかけに触れることができました。質疑応答も非常に活発に行われ、たくさんの刺激を受けました。 

15:10 研究発表「通奏低音奏実践にみられる即興的作曲法」三島 郁
 バロック音楽の鍵盤楽器における18世紀の即興奏法について説明されました。スクリーンで楽譜をおいながら、音源をきき、楽譜を実際にはどのように即興演奏しているかを知りました。当時のそれらの即興奏法を習得するために出版された教則本についても紹介されました。

15:40 研究発表「『音楽づくり』における制約と環境の適切性についての実践的研究」明道 春奈
 小学校2年生の音楽授業のなかで取り組んだ内容についての紹介がありました。今回は「あんたがたどこさ」と「らかんさん」を歌いながら振り付けを考案するという課題を提示されました。課題に取り組んでいる児童たちの教室での様子もビデオで紹介されました。1人が立ち上がって動きだすと、そのうちに一人ひとりがたちあがっていき、総立ちに近いシーンが繰り広げられたのが印象的でした。

16:20 研究発表「音楽大学学生にとっての即興演奏の位置づけ―エリザベト音楽大学の講義「即興演習1」履修者を対象とした調査をとおして―」平田 裕子
古典派音楽の即興演習の授業を履修した学生へのアンケート調査が報告されました。内容は、各学生の即興経験、履修した理由、目的、今後の進路への生かし方などでした。学生へのアンケートは、用紙での設問の他、対面インタビューも行われました。即興教育を卒業後の進路、生かし方を考慮して、教育内容にフィードバックさせていかれるという視点が新鮮に感じました。

16:50 ラウンドテーブル「音楽教室における即興演奏の現状の課題について」 三宅 珠穂
 音楽教室で即興をされている内容をビデオで紹介されました。その後、フロアからの提案で、大会参加者全員で、前方に椅子をもってきて円を囲むようにすわりました。テーブルはありませんでしたが、顔をあわせて一人ずつ即興についての思いを語ることができました。議論が深まり、大会初参加者から即興についてもっと話しあっていきたいと、時間を惜しむ声があがりました。

17:50 閉会挨拶
ラウンドテーブルの充実から、まだまだもっともっと深めたい気分に一同が心底その気になった状態で、来年またぜひ、京都であいましょうというひと声で閉会となりました。

2日間、本当に有意義なとても多岐にわたる発表でした。みなさま、お疲れさまでした。


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