日本音楽即興学会 JASMIM

The Japanese Association for the Study of Musical IMprovisation
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ニュースレター

 ユミ・ハラ・コークウェルさんにインタビュー#3/3

記載:2011年2月15日

JASMIMレター0032(2011.02.15)
[ユミ・ハラ・コークウェルさんにインタビュー#3/3]
インタビュアー・編集:歳森彰

本文

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JASMIMレター0032(2011.02.15)
[ユミ・ハラ・コークウェルさんにインタビュー#3/3]
インタビュアー・編集:歳森彰
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それと、私、メーリングリストのブレインストーミングで、予選をYouTubeでやるとしたら、どういう評価基準でやるか、というので、「見た目」って書いたじゃないですか。それについて、何なんですか? という疑問は持たれなかったですか? お一人、ビデオで手を加えてよく見せようとするんじゃないか、とか、それをどうするんですか? って、返事くださった人がいらっしゃったんですけど。歳森さんはそれを奇異には感じなかったですか?

———–映像的な脚色についてですか?

いえ、私が見た目、って言ったことについて。見た目で判断する、ということについて。

———–それはぼくは特に何も思いません。

じゃあ、それについては何も話をしなくていいですか?

———–最初に舞台的な衣装とか、そういうお話をされましたが、どうぞ、それに付け加えることでしょうか?

それとは違うんです。ちょっと違う意図がありまして。即興のコンテスト、コンクールってそんなに多いものじゃないですから、即興のということじゃないんですけど、クラシック系ならいっぱいコンクールとかありますよね。BBCのテレビでも。大学でも、演奏の試験でも、そういうのを見てて思うんですけど、ある程度のレベルになると、音楽の音の内容では優劣つけられない、みんなすごくて。そこから先にいくと、好みの問題とか、なるじゃないですか。その位のレベルになると、BBCのヤングミュージシャンのコンテスト、若いクラシック系ミュージシャンの最終戦、そういうのを見てると、最終的には見た目だと思うのです。

見た目というのは、伝統的な美醜じゃない、顔が美しいかどうかとか、そういう意味じゃなくて、音楽の系統にマッチした雰囲気、雰囲気って言ったら良くないですけど、楽器特有の体の動かし方、ちゃんとジャンルに合った、体の動かし方になっているかどうかとか。

ピアニストだったら、音を弾いた後、手を空中に上げるときの、空中の手の形とかさ、音には何の関係もないんだけどね、その手の形がいいとか、そこで審査員はそこで絶対言わないんだけれども、それがあるんじゃないかな、って最近私は思ってて。

そうすると、私もう一つ、評価の問題で面白いかもしれないと思うのは、そういうコンテストの音を消して画面だけ審査員に見させて評価させて、後で音をきいたときとどう違うか、同じなんじゃないかな、って気がしてきた。

*ハラ注:
この件に関してはやはりいまひとつ理解されにくいようであるが、そもそも「メーリングリストのブレインストーミングで、予選をYouTubeでやるとしたら、どういう評価基準でやるか」という質問は、討論を活発にする目的だったと思うが、深く考えないで思いつきでどうぞ、という趣旨だったので、あえて簡単に「見た目」と書いたが、このアイデアを思いついたのは、コンテストにおいて、音だけではもはや差がつけられないようなトップレベルの演奏において優劣をつける際に視覚的要素が審査員の判断に大きな影響を及ぼしているのではないかと想像していたからである。音だけ聴いて判断つくようなレベルで見た目だけで勝てるなどということは言っていない。しかし、明らかに演奏中の姿勢に無理があるなど、見た目で明らかにダメなのは実際ダメかもしれないのは事実かも知れず、その辺、審査員の判断をテストしてみようという主張である。それでコンテストの結果をつけてしまおうなどとは言っていない。私が興味があるのはあくまでも評価の方法の妥当性に関する研究であって、コンテストの勝者を決めること自体にはあまり興味がないのである。
*注終わり

だから、YouTubeで送られてきたのを、音を消して見なくてもいいんだけど、何で判断してるか、ったら、もしかしたら見た目で判断してるんじゃないかなって、気がするんですよ。それは即興の場合もっとそうなんかもしれない。ライブのとき、お客さん何を見てるかったら、目を閉じてきいているお客さんいるけど、やっぱり舞台にいる人の体を見てるんですよ。体なんですよ。「パフォーマーは体」

———–はい。

体を見られてるし見てるから、それで音楽のジャンルに合ってるかどうか、というのも興味があるところなんですよ。だから、私は歳森さんの無音ストリートをやってるの、体だけ見せてるわけでしょう、音消して。体だけ見せているところに人がどう反応してるか、っていうことだから、それは面白い研究対象ではないかって。それ、ほら、音きかないで、歳森さんだけ見て、踊ってる人がいたって。

———–はい(笑)

やっぱりなあ、って思いましたよ。お客さんはパフォーマーの何に反応してるか、ったら体に反応してるんだなあ、と思いましたね。そのとき。

———–(笑)

ハハハ(笑)

———–それぞれの人の、ぼくは、いろんな評価の考え方が出てくれば面白いと思うのです。今言われたようなことも含めて。

やっぱり学会でやるんだから、何らかの研究報告になるような方向が望ましいと思うんですよね。コンテストの結果だけじゃなくて、コンテストに関する研究結果が。それが学会でやる意味じゃないですか。学者の立場で考えると、研究結果が出やすいようにデザインをする。

———–はい。いろんなご意見がある中で持って行き方はとっても難しいですが。

難しいと言えば難しいですけど、いいんじゃないですか。それと思ったのは、過去の学会の大会で、特に若尾先生と話していて、私の中ではっきりしたことは、気をつけなきゃいけないのは、「音楽即興」というのは、音楽の作り方、方法だということ、「即興」というジャンルじゃなくて。どうも、われわれジャンルとして扱いがちなことに、気をつけなきゃいけない。

———–はい。

即興という方法を用いている音楽活動の中にいろんなジャンルがある。作曲ならジャンルを超えた作曲のコンテストってないですよね。 現代音楽とポップソングのコンテストが混同されることはない。なので、ジャンルを超えた即興のコンテストはできるのか、という疑問があります。

———–ひょっとしたら不可能じゃないか?

ジャンルを超えたら、でしょう。私は大学でジャンルを超えざるをえない評価をやってますけどね。難しいと思いながらやっちゃってるわけだけど。一応そういう問題もある、というのもみなさんの共通理解としてしておいていただきたいですね。

私自身が演奏する時でも、マンマル・マシーンみたいに、ロックということで演奏するときは、全部即興であっても、お客さんがロックに期待すること、イディオム、それらが自分の頭の中にあります。それはロックじゃない設定なら違うわけです。

(スカイプの雑音ひどく聞こえません)

———–ので、おしまいに。大体、一まとまりのご意見伺えたと思います。

ありがとうございました。

———–ありがとうございました。またお願いします。


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