この度の大会では、特別講演のゲストとして『フリープレイ』(フィルムアート社・若尾裕訳)著者のスティーヴン・ナハマノヴィッチ氏をお迎えすることができました。昨年の講師のアラン・タリー氏も、そのご講演でハナマノヴィッチ氏の論説を多く引用されており、今もっとも注目されている即興音楽研究者・演奏家のおひとりです。
ナハマノヴィッチ氏の言う「生きることは即興である」(下線 筆者)という言葉は氏の論説を象徴する言葉だと思います。そこから、大会テーマを「日常生活と即興」にさせていただきました。その後、氏の論考はさらに展開されたと聞いております。今回のご講演「即興することは人生である」では、さらなる深みを語っていただけるのではないかと思います。どうぞご期待ください。
大会企画のワークショップでは、「インドネシアの民族楽器ガムランの体験演奏」を、様々なグループやユニットで即興を主軸にドラムや打楽器、ガムランなどを演奏している岡山在住の音楽家、岩本象一氏にお願いいたしました。またとない体験となることと思いますので、ふるってご参加下さい。
「ソングライティング(即興による歌作り)の体験」は、実際に心に病をもつ方々とのソングライティング活動を実践されている、作曲家の若尾裕氏にお願いいたしました。1回ごとに完結させる作品作りの面白味を、ぜひ体験から味わっていただけたらと思います。
「誰でもできる!医療福祉現場での音楽活動」では、楽譜が読めない、楽器演奏もできない、歌も苦手、という三重苦の方でも、簡単に明日からでも取り入れられる音楽活動を紹介いたします。マンネリ化でお悩みの方にもお役に立てるのではないかと思います。音楽はみんなのもの、音楽するのに上手下手もない、そんな思いを含めてお伝えできたらと思います。
最後に、みなさまにとって、この大会から得るものが大きいことを願いつつ、ご挨拶とさせていただきます。
川崎医療福祉大学 田中順子