内容紹介
ヒトの誕生よりはるか前から鳴り響く空気。ヒトはその音環境(サウンドスケープ)を、ことばにより解釈し「音楽」と意味づけた。しかし、この音への立ち会い方は、日本と西洋でやがて大きく異なっていく。この東西の違いを比較しながら現代の音楽教育を考察し、実際の教育現場を通じてサウンドスケープの下で自らの耳と身体で音を聴くことの意義を検証する。 周囲で鳴る「音」と教科としての「音楽」。環境と教育の間で、子どもたちの音への感受性や想像力をどう育てるか? 自然環境やサウンドスケープに身を委ね、自らの耳と身体で音を探し、聴く。様々な実践的な試みを通じて音楽教育のあり方を問い直す。
著者について
1964 年東京生まれ.弘前大学教育学部教授,同大学院地域社会研究科教授.専門は音楽教育学,サウンドスケープ研究.1986 年国立音楽大学卒業.トヨタ財団助成による神田サウンドスケープ研究会(1986-1988),横浜博覧会音響計画(《大地のパイプオルガン》作曲, 1989)等に参加.出版社で音楽教科書の編集(1986-1992) に携わった後,1992 年カナダ政府招聘留学.1994 年サイモン・フレーザー大学大学院教育学部修士課程修了,1999 年ブリティッシュ・コロンビア大学大学院 教育学部博士課程修了(哲学博士).英国ロンドンのローハンプトン大学博士研究員(1999-2001),米国テネシー大学マーティン校客員特別教授(2002).共著書に『音さがしの本』(1996, 春秋社),『音楽教育学研究1』(2000, 音楽之友社),Music Education Policy and Implementation (2008,弘前大学出版会),The Oxford Handbook of Philosophy in Music Education (2012, Oxford University Press) などが,共訳書に『サウンド・エデュケーション』(1992, 春秋社),『音楽家のためのアレクサンダー・テクニーク入門』(2009,春秋社)などがある.