内容紹介
わが国の第一線の臨床家・研究者である鎌倉矩子氏・岩﨑清隆氏がさまざまな分野で活躍してきた11名の作業療法士に話を伺う。インタビューによって、それぞれ魅力的な人材はどのようにして作業療法界に現われたのか、どこに視界を置いているのかなどの海面の氷山が目前に現出する。
1965年の「理学療法士及び作業療法士法」が制定される前にリハビリテーションに従事していた作業療法草創期の澤治子氏、辰巳三代子氏。片手リコーダー、筋電義手などの開発に取り組んだテクノエイドの先駆けである古川宏氏。作業療法士単著で本邦初の精神障害の教科書を著した山根寛氏。高次脳機能障害の臨床に1980年代初頭より取り組まれた種村留美氏。日本のリハビリテーションの常識を覆した全国のデイサービスのモデルとなっている「夢のみずうみ村」をつくった藤原茂氏。発達障害領域の作業療法において長年の実践から独自の理論を導き出した辛島千恵子氏。認知症の臨床に関わって30年来、現在も認知症の方の在宅支援プランを実践している小川敬之氏。音楽活動を使って作業療法の分野を開拓する田中順子氏。「メメント・モリ」を心の中にホスピス緩和ケア一筋に作業療法を模索し、患者と共にいる目良幸子氏。地域の人の生活を考えて、地域に合わせた作業療法を展開してきた石井晴美氏。
また、必要な箇所に絶妙に加えられた注釈、文献は読者の理解を助ける専門書のモデルであり、編者の類ない教養の一端を味わうことができる。