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JASMIMレター0012(2010.11.06)
[エクセター大学シンポジウムレポート#1-2(沼田里衣さんへのインタビュー)]
インタビュアー:原真理子
編集:若尾久美
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SocArts Symposium ‘Flirting with Uncertainty: Improvisation in Performance’
エクセター大学ソックアーツ・シンポジウム「不確実さとたわむれる パフォーマンスとしての即興」
前回から、本年3月にイギリス、エクセター大学で開催されたシンポジウムの内容をお伝えしています。今回もそのつづきで、企画の原真理子さんから発表者の沼田里衣さんへインタビューです。
インタビュアー:原真理子
———–(インタビュアー) 参加者からのフィードバック、発表後の議論について、印象に残ったことがあれば、教えてください。
(沼田里衣) 質問として、「アウトサイダーアートのことを引いていたけど、アウトサイダー性についてどのように考えているのか」というものがありました。それに対し、音楽ではアンサンブルが可能なので、障害/健常という境界、つまりインサイド、アウトサイドという境界を越えた活動が可能となるのではないかと考えていること、また、そのような会を運営していく上で、両者が同じ地点に立ち、そこから新たなものを生み出せるように、常に考えていることを述べました。
また、ユニークな活動である、との感想をいただきましたが、イギリスにもそのような活動をしているところがある、という紹介もありました。イギリスではもともとコミュニティにおける芸術活動が盛んな状況がありますが、今後、日本の状況との比較検討してみることも面白いだろうと思いました。
イギリスでは、音楽療法の制度が日本よりも確立されており、他の様々なコミュニティにおける音楽活動とのせめぎ合いもあるようです。こういった状況において、「音遊びの会」がどのような意味を持つのか、と言ったことなどについても、もう少し突っ込んだお話がしたかったのですが、時間がなく残念でした。
———-今回のシンポジウム全体に関する感想をお願いします。それぞれの発表、参加者、シンポジウム全体について、議論、演奏、etc…
作曲家、ダンス領域、音楽教育領域など、多様な発表者による議論は刺激的でした。音楽ワークショップも組まれており、研究者がど のような音楽を志向しているのかを音で確認することもできました。また、何よりも、主催者のTiaのお人柄が素晴らしく、パーティーでも手料理のごちそうをいただき、参加者した研究者と社会の思想と芸術の関係という観点からの研究の話、民族音楽の教師との古楽器の話など、わずかながらも交流できたのは貴重でした。
今、日本に帰ってきて、「音遊びの会」の活動を続けながらも、改めて社会学的視点の重要性を再認識しているところです。