日本音楽即興学会 JASMIM

The Japanese Association for the Study of Musical IMprovisation
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ニュースレター

 ユミ・ハラ・コークウェルさんにインタビュー#1/3

記載:2011年2月11日

JASMIMレター0030(2011.02.11)
[ユミ・ハラ・コークウェルさんにインタビュー#1/3]
インタビュアー・編集:歳森彰

本文

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JASMIMレター0030(2011.02.11)
[ユミ・ハラ・コークウェルさんにインタビュー#1/3]
インタビュアー・編集:歳森彰
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インタビュー日付:2011.01.26

———–(歳森彰)今、イギリスは何時ですか?

(ユミ・ハラ・コークウェル)今はお昼の1時です。

———–こちら日本は夜10時です。+9:00というものですね。さて、JASMIMレターのために、いろんな方にインタビューしてご意見を伺っています。よろしくお願いします。まずは、ハラさんが音楽の即興に関して一番関心のあることはどんなことでしょう?

えーっ、音楽の即興に関して関心のあること?

———–一番ここぞ、ということとか?

ここぞ、ということ? えーっ、わかんない。

———–ご自分では何を追求されたいとか? 

学会としてでしたら、例えば、研究対象としてでしたら、大会の1回、2回で、シンポジウムで、教育における評価の問題と、日本伝統音楽と一緒にやったときの難しい点、それは研究のテーマとして学会で発表するのにふさわしい内容なので、そうなのですが、それらが自分の演奏家としての活動の中心にあるかというと、そうじゃないですね。

———–はい。

で、演奏家として即興において一番大事なということになると、やっぱり、普段考えていることは何かというと、次のツアーはどこかなあ、そういうことじゃないですか。演奏家として、普段思い悩まされていることは。次のツアーをいつ、誰と、どこの会場でやるか、どういうふうな告知をすれば集客できるか、そういうことじゃないですかね。

*ハラ注:
インタビュー前のメールでの予備質問「ハラさんが考えておられる音楽即興とは?」に対して用意していた答えは「リアルタイムの作曲である」でした。リアルタイムの作曲が普通の作曲より優れているのは、共演者と一緒に演奏することによって、またお客さんの反応をダイレクトに感じながら作曲演奏するということで、家で自分一人で作曲しているときには想像もつかないような音楽的創造が自分の中から引き出されるということなのです。
*注終わり

———–はい。

現実的ですまないんですけど、やっぱり活動している人間にとってはそういうことに一番時間を取られるんじゃないですか。

———–はい。

あんまり夢のないことで(笑) それに思い悩まされています。

———–質問としてもうちょっと具体的には・・・。

はい、具体的にお願いします(笑)

———–例えば、次はどなたかと共演されるとしたら、今言われたようないろいろ現実的な段取りとか以外、音楽内容に関して、何か準備されたり考えられたりは?

音楽に関しては特に意識的には準備はしないです。

———–あー、そうですか。

もし即興演奏でやるんだったら、前々から準備ということはしないです。

———–その時、その時になって、ということで、計画しない。

計画はしないです。ただ、持って来る楽器とか、会場とかにすごく依存するわけですよ、会場がどこであるか、キーボードを持っていかないといけないとか、もしグランドピアノがあれば、われわれキーボード奏者はそうですよね、いつも自分の楽器を持っていく人たちとは違うわけですよ。楽器に依存するところがあるから。もしグランドピアノがあるなら、グランドだからと自分の気持ちが盛り上がっていく。自分の楽器を持っていくなら、自分のシンセのセッティングをどうするか、それはちょっと考えますよ。

それで相手の楽器が何かによって、自分の役割がどうなるか、無意識的に気持ちの準備はできていくでしょうね、それは。

ただ、音楽的に何をするかっていうのは、ホントその時のその瞬間に、頭もものすごく使って、集中してやるわけですよ。

———–はい。

後ですね、そうじゃなくて、マンマル・マシーンのようなバンドとして活動している場合は、そのときはですね、多少、CDに収録しているアレみたいなヤツをやろうとか、そういう話になることはありますね。ただ、初めてやる人とかの場合やバンドとして確立していない場合は準備はしません。

*ハラ注:
マンマル・マシーン(Mammal Machine)は、2010年6月に初ライブを行い、2010年12月にキャプテントリップよりCD「密儀」をリリース、レコ発日本ツアーを行った、サイケ、プログレ系即興ロックバンド。バンド名は元マーブル・シープの宮崎りえ(b)、マンドッグの渡邊靖之(d)、ヘンリー・カウのメンバーと共演の多いユミ・ハラ・コークウェル(k,v)で、羊、人間、犬、牛で「マンマル」(哺乳類)、渡邊靖之とタバタミツル(g)は現レニングラード・ブルース・マシーンで、ユミは元ソフト・マシーンのヒュー・ホッパーと共演していることから「マシーン」をいただいた。
*注終わり

後はですね、衣装を、ツアーに出るときは物を少なくしていかないといけないので、衣装をね、ハカリで計ってね、ちゃんと重くないものを選んで、この日はどれを着てとかやりますよ、これはかなり真剣に、今、歳森さん笑ってらっしゃるけど、相手が誰とか、場所がどことかによって、厳密に決めていきます。

———–それはとっても計画される、ということですね。

これはその現場で決められないですからね。出発直前にこれを持って行こうかしらなんて考えていたら大変なことになるので。これは前からしっかり計画的にそれぞれの日によって全部考えます。

———–そこは即興ではないということですね(笑)

即興で衣装をやりますとね、別のジャンルになる(笑)

———–ハハハ(笑)

そんなことないですか。法律に抵触したりなんかして(笑)

———–はい(笑)


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